波乱の幼児期　裕福からどん底へ　母は強し

私の田舎は宮城県で、仙台から電車で2時間の風光明媚な本当の田舎です。しかし、幼少時期は家には専門の子育てがいて、手間取りが10人前後いました。私は長男として生まれ、食事はいつも皆とは違う上げ膳据え膳で育ちました。ひげの爺に育てられ、苦労なく遊びまわっていました。ところが小学生に入る頃にはいつもいる人たちが一人減り，二人減り、最後は全員いなくなりました。そして、今まで聞いたことのないすすり泣き声がたまに聞こえてきました。それは母親の声でした。子供の私にはまったく理解出来ず、小学6年で初めて理由が分かりました。約400年の歴史ある家に、債権者が土足で入り、親父を探しに来ていました。人の良い親父を村の偉い人たちが博打に誘ったり、保証人にさせたりで、結局、騙され、事業や整版工場や山や田畑を殆ど失いました。いつもで出くるテレビドラマのようでした。母は教師で、田舎の家を任されました。百姓仕事は一切したことがありませんでした。しかし、家が潰れて、田畑約１町を耕し、野菜、くだもの、豆、麦、稲などや豚・鶏・ヤギ・うさぎなどの世話をする事になったのです。子供たちも当然手伝いの出来る仕事は分担でしました。親父も昔は職業軍人で幹部でした。しかし、戦争で部下を無くし、精神的にも苦悶し、東京の自衛隊の幹部候補や警察の幹部候補に推薦されたのですが、部下の弔いをしたいと断り田舎に残りました。そんな親父か゛商売で魚屋を始めたのです。商売は当然へたです。もともと頭もよく世話好きな為に昼から色々な人から相談を受け、世話をして、自分の商売は後回しで全く出来ませんでした。また、商売で稼いだお金は、困っている人がいるとそちらに回り、家には御金が入ってきませんでした。他所では、花咲爺さんで気前が良かったのです。仕方なく母が魚屋を手伝い、夜中に仕込み３枚おろしや刺身の切り方など練習して店に出ていました。どんなに苦労しても子供の前では一切愚痴は零しませんでした。唯耐えていたのです。めまいがおきようが、直ぐ働き、わたしたちを育ててくれました。教育は拳骨教育でした。兄弟４人一人でも誰かが悪いと４人揃って厳罰を受けます。ほとんどが弟が多かった気すがします。拳骨教育は小学生までで、自分で善悪の分別が出来るようになったら一切怒らなくなりました。個人に任せました。結局４人を高校まで母親が働いて卒業させてくれました。当然母親は昼は魚屋・田畑て゜、夜は保険の仕事を始めました。最初は教え子の所へ行くのが恥ずかしく、頭を下げるのを躊躇っていました。何度も悔しくて泣いていましたが、耐えて、耐えて、最後には宮城県では一位の成績を残し、町で一番の収入を得ていました。母の３つの目標は最期まで崩れることなく、営業の鏡として、８0歳まで仕事を続けていました。そんな頑張りやの母は、田舎で一人暮らしで、栄養失調で、認知症になり、直ぐ東京の、最初は姉の所で世話をしていましたが、他の病状も出できて、私が傍にいて、面倒を診る事にしました。本来１日遅れれば命が危なかったのですが、３年長生き出来ました。朝と夜２回中医学で治療し、朝と夕に近くの神社まで散歩させ、食事も朝食から栄養を考慮し、何でも食べさせました。心臓外科の先生には、食事制限、太ってだめ、水も飲みすぎだめ、運動だめ、塩分だめと言われましたがそれでは、歩く気力さえ失ってしまうので、一切食事制限はさせずに、私と同じものを食べさせ、歩行も最初は１０メートルも歩くと疲れていましたが最後は２キロ歩けるようになりました。訪問医師もびっくりしていました。８０過ぎの老人に食事制限や塩分控えなどは全く無意味です。１つの臓器を守る為に９つの臓器を弱らせることになるのです。全身を強くして、弱った臓器を改善させていく方法は中医学の得意とするところです。残念ながら今年の８月になくなりましたが、私に幸せだったと絞るような声で、倒れる前日に言ってくれました。最後の３年間は母親の介護が出来て幸せでした。母親の為に、１００歳までの元気館を作ったのですが目標まで力及ばずでした。本当に母親強しを肌で感じて、色々教わりました。

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